福井駅前交番

Kiohde Hayai Kiohde Hayai
Police Box in front of Fukui Station, F.A.D.S F.A.D.S
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交番は市街地に設けられた警察官が勤務する施設。それは最も身近にある警察組織だが、近づき難いイメージを持つ人もいるだろう。そんな交番のイメージを変える設計を行ったのは建築事務所「F.A.D.S」。彼らによって建てられた交番は親しみやすいイメージを生み出すことに成功している。

市民のための交番

Police Box in front of Fukui Station, F.A.D.S F.A.D.S

北陸の中心都市の一つ福井市。近年になって街の中心部にある福井駅は新駅舎が建てられ、また周辺地域では再整備が行われている。福井駅前にある交番も、こうした動きに合わせて新築されることになった。その設計を行ったのは建築家、藤木隆明と佐藤由紀子による建築事務所「F.A.D.S」。彼らは市民のための交番になるよう建物に様々な要素を盛り込んでいる。

開かれた場所

Police Box in front of Fukui Station, F.A.D.S F.A.D.S

交番の建物は3階建てで外観は白色にまとめられている。それは多くの建物が建つ駅前でも人目を引く。建物のファサードはガラス窓とコンクリートの壁で構成されている。受付部分となる1階を覆うのはガラス窓。通りから交番へと視線を向ければ、中の様子をうかがうことができる。交番に入ることをためらうような圧迫感は感じることはなく、開かれた印象を感じることだろう。

印象的な光景を作り出すファサード

Police Box in front of Fukui Station, F.A.D.S F.A.D.S

2階と3階は関係者が使用するためプライバシーを保つ必要がある。ただし内部を見せることなく開かれた交番の印象を与えなくてはいけない。こうした問題に答えるのが壁に取り付けられた小さな円形の窓。窓の配置は不規則になっているため、壁の上には雪が降っているような模様ができる。また夜間には室内からの明かりが窓から漏れて、印象的な光景を作り出す。その様子は堅苦しい交番のイメージを変えてくれるに違いない。

記憶の共有の場

Police Box in front of Fukui Station, F.A.D.S F.A.D.S

交番の建物そのものは新しくなっているが、それはただ新しいだけでなく懐かしさを感じさせる。建物内部の壁に取り付けられたのは、かつて福井駅で使用されていたガラスブロック。多くの市民に親しまれていた建物の一部は新しい交番に引き継がれ、街の人と記憶を共有できるようになっている。こうした記憶の共有は街の人々との繋がりは確かなものにしてくれるだろう。

親しみの感じられる交番

Police Box in front of Fukui Station, F.A.D.S F.A.D.S

交番というと近づき難さを感じるかもしれない。だがここでそれを感じることはないだろう。ここにあるのは明るく開かれた空間。そして人々と共有できる街の記憶。「F.A.D.S」が生み出した福井の交番は、親しみが持てる場所として市民に利用されていくに違いない。

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