家事は分担でなく「一緒に」、キッチンデザインからのレボリューション15のポイント

A.Imamura A.Imamura
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キッチンの写真を見ると、いつも「お母さん」が映っていませんか?内閣府の男女共同参画によると、日本男性は、家事、介護・看護、育児、買物、ボランティア活動などの無償労働時間は41分だそうです。OECD国際比較データの平均は、男性136分なのでかなり少ないですね。一方、日本女性の無償労働の時間は299分と、OECD平均の274分よりさらに長い時間労働していると示されています。パートナーが家事をしない、いつまでもお手伝い気分が抜けきらない、頼まないとしてくれない… … と嘆く人は多いでしょう。


家事は分担をするべきだという主張はもっともですが、それが喧嘩の原因やストレスに発展するケースをよく見かけます。そんな時は、誰か一人が何かを任されて家事をすると考えるのではなく、みんなで「一緒に」家事をする住まいをイメージしてみましょう。例えば、「お母さん」一人が使うキッチンから、家族みんなが使うキッチンを想像してみてください。一緒にお皿を洗ったり、一緒に調理をする、パトナーと一緒に家事をしていれば、きっと子供も一緒に家事に参加したがります。

今回は、そんな家族みんなで家事がし易いキッチンデザインを考えていきます。「男女ともに働く時代」は「男女ともに家事をする時代」でなければおかしいですよね。さぁ、キッチンデザインからレボリューションを始めましょう!

1:キッチンは家の中心に配置

キッチンはかつて、冷蔵庫などの保存技術が発達北側に配置される傾向がありました。北面の窓は寒くて、結露が発生し易く、日光が入りにくい暗いイメージがあります。雪が積もってしまった場合などは、日当たりの関係でなかなか雪が消えないこともあります。でも、キッチンは家族みんなが食事を作って健康を担う大切な場所です。これからは、キッチンを家の中心に配置しませんか?

例えば、こちらの住まいのようにリビング・ダイニングを家の中央に配置する間取りは、自然に台所が中央にきます。大きな開口部のある一続きのLDKは、開放的でフレキシブルな空間となり、家族の成長に合わせて変化する住宅でもあります。


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2:調理台の高さ調整

明治時代の台所は、土間に設けられ、水や火をつかうためにしゃがむ必要がありました。大正時代に入ると、大正デモクラシーとともに台所改善運動が起こり、電気・水道・ガスなどの近代設備の整備と共に立った姿勢で調理ができるようになりました。戦後、ステンレス流し台が登場し、システムキッチンが普及していきます。


さて、現在のキッチンは、ステンレス流し台の前に立って調理をするかたちが普及しています。この調理台の高さは、日本工業規格(JIS)により、80cm・85cm・90cm・95cmと5cm刻みに定められています。でも、この調理台の高さや立つ姿勢は、家族みんなの身体にあったものなのでしょうか?背の高い人が快適に調理できる高さと、背の低い人にとって快適な高さは異なります。車椅子の人には立って調理する調理台の高さは高すぎます。家族みんなで家事をする新しいキッチンデザインは、調理台の高さが家族にあわせて調節できるようにしませんか?


調理台に高さ調節機能を付けるのも良いアイデアです。またはこちらの住まいのように、土間とスキップフロアを用いて段差をつけることで、家族それぞれが身体にあわせて調理し易い場所を見つけられるようなデザインも良いですね。ステンレス流し台のある調理台は段差無くダイニングテーブルに続いているので、椅子に座りながら野菜を切ったり、子供は床の高さと椅子を使って自分が作業し易い場所を見つけやすくなります。


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3:共同作業をし易いダブルシンク

誰がお皿をステンレス流し台に持っていくか、誰が洗い物をするか、誰が食器を収めるか、そんなことで口喧嘩をしたことはありませんか?「お母さん」一人が家事をするという家庭で育った人は、誰か「一人」が家事をすると思い込んでいるため、「誰か一人」に食器の片付けを押し付けあいます。でも、自分で使った食器は、それぞれ自分で片付ければいいですよね?

新しいキッチンデザインは、ステンレス流し台が二つ設置されているダブルシンクを取り入れましょう。一緒にお皿を洗っても楽しいですし、お皿を洗う作業の間に野菜を洗うことだってできます。共同作業のアイデアが広がり、グッと家事がし易くなります。


4:静音仕様のステンレスシンク

LDKの間取りでは、ステンレス流し台の流水音を煩わしく思う時があります。片付けをしながらテレビが見たいけれど流水音が邪魔なので片付けをしたくないと思うこともしばしば。新しいキッチンデザインは、静音仕様のシンクを取り入れませんか?人造大理石のカウンターならば、水を流した時の音が静かで気になりません。ステンレス流しも、水やお皿の当たる音などを抑える静音仕様があります。


【住まいについては、こちらの記事でも紹介しています】

 やってはいけない使いにくいキッチンデザイン5!

5:みんなが調理場に立ちたくなる眺め

北面に配置されていた台所は、窓の結露がおこりやすいので開口部は小さなものでした。新しいキッチンのデザインは、みんなが調理場に立ちたくなる開口部をつくりませんか?

例えば、こちらの住まいは、圧巻の大開口部が調理台の目の前に広がるデザインです。大判アクリルの大開口部によって、調理場はまるで屋外にいるかのような眺めになります。キッチン天板は、外の地面とラインが揃えられているので、調理中の風景は自然に近い特別な眺めになります。

6:ダイニングテーブルと調理場を一体に

これまで、日本の一般的な住まいでは壁取り付け型のキッチンが主流でした。家族とのコミュニケーションがとり易いオープン型やカウンター型が流通しだしましたが、それでもなぜか「調理した人が料理をダイニングに運ぶ」というかたちは変わりません。これからはレストランの様なスタイルをやめませんか?

新しいキッチンデザインでは、オープンキッチンにダイニングテーブルを造り付けた一体型を取り入れましょう。この一体型デザインならば、みんなで調理してみんなで料理を運ぶという動きが自然な動線となります。


7:みんなで把握しやすいパントリー収納

「お手伝いして」「台所の器具や調味料がどこにあるかわからない」なんて会話をしたことがありますか?この会話は「お母さん」が家事をすると思い込んでいる人達に起こりがちです。でも、みんなが食べる食事の支度をすることは「お手伝い」ではありません。

新しいキッチンデザインは、家族みんなが器具や調味料、食器など全てのものを把握し易い大きなパントリー収納をつくりましょう。例えば、こちらの住まいは、カウンターの背面壁全体を収納スペースとして活用します。引き戸で省スペースに全開放でき、さらに食器棚、レンジボード、パントリーの役割を果たしてくれます。細かいものは白いボックスに入れて並べると全体に統一感が出ますね。これからは、自分の家なのに「どこに何があるかわからない」なんていう家族はいなくなるでしょう。

クレジット: photographer : 笹の倉舎 笹倉洋平

8:回遊性のあるアイランド型

「でも、一人で調理した方が早くて効率が良いんだもん」なんて言わないでください。その言葉の後ろには、「家事は完璧にしなければいけない」という気持ちが潜んでいませんか?でも、完璧なんてありません。それよりも、家族みんなの”家事方法”を見つけてみましょう。そのためには、みんなで一緒に家事をする必要がありますよね?

これまでのキッチンの動線は、一人で調理し易い動線が考えられていました。新しいキッチンのデザインは、みんなで調理し易い回遊性のある動線を取り入れましょう。例えば、回遊性のあるアイランド型は、2人で並んで料理ができたり、両側から回りこめる動線で作業が楽なこと、家族で連携して準備などができるので、子供の食育や片付けの習慣づけにもなります。

9:会話が弾む静かなレンジフード

家族で連携して調理をしながら、楽しい会話をしたいですよね。でも、換気扇の音がうるさすぎて会話が続かないなんてことはありませんか?LDKのオープンカウンターで、リビングにいても換気扇の音が気になり過ごしにくいなんてことはありませんか?新しいキッチンデザインでは、音が静かなレンジフードを取り入れましょう。運転中もレンジフードの下で会話ができるくらい静かです。

10:調理動線に無駄のないコの字型

コの字型は、何と言ってもその広さと無駄のない動線で調理の作業効率の良いレイアウトです。アイランド型のカウンターを組合わせることができたり、カウンターに椅子を置けばテーブルとして使用できます。家族みんなで、または友達と一緒にお料理を楽しめるレイアウトです。

11:暑くなりにくいIH

特に猛暑では「火を使うのでキッチンは暑い、さらに家族数人と一緒に家事をしたら暑い」なんて思うことがあります。新しいキッチンデザインでは、調理場が暑くなりにくいIHを取り入れましょう。さらに、IHは安全性が高く、子供でも容易に調理に参加しやすいというメリットがあります。

12:毎日の料理の意味について感じられる

こちらは、台所カウンターが一直線にダイニング、リビング、寝室へと続く住まい。どこにいても調理台カウンターに目が向かいます。こんなキッチンデザインは、家族の健康を担う大切な場所だということを感じさせてくれます。英語で「You are What you eat」という表現をよく使いますが「あなたが食べたものがあなたをつくる」― それを家族みんなで一緒に感じられる台所は素晴らしいデザインです。

13:水回りの家事動線の効率

水回りの家事動線をまとめ回遊できる間取りは、水を使う調理、洗濯、トイレ掃除など別の種類の作業を同時進行でおこないやすいので、一人で家事をする時にも便利です。家族用玄関の勝手口から台所横に洗面コーナー、トイレ、洗濯脱衣室、お風呂まで一直線の間取りも便利ですね。家のどこにいてもキッチンが中心になる間取りは、自然と家族が顔をあわせる場所になります。



14:みんなの視点でインテリアにこだわる

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家づくりの時に「お母さん」だけが台所デザインについて考えている家庭をよく見かけます。でも自宅のキッチンアイデアやインテリアは、家族みんなで話し合いましょう。きっと、一緒にクリエイティブに調理を楽しめるインテリアのアイデアが沢山生まれます。素敵なアートを飾ったり、スピーカーを置いたり、照明を変えたり… … アイデアは尽きません!

例えば、こちらはシナベニヤの可動本棚でワンルームをフレキシブルに間仕切りできる住まい。気分次第でインテリアを変えたり、デコレーションを加えたり、住まい手のセンスを抜群に活かせるアイデアです。

15:時々隠すのもキッチンレボリューション

「家族みんなが家事をしたがらない」「私だけいつも家事をしている」家族に言葉で伝えても改善しない毎日に疲れていますか?小さな子供ならまだしも、家事をしない相手が大人である場合は大変ですね。間仕切り戸を設けて、しばしの間、台所を隠してみませんか?少し一息つくことも大切です。

例えば、柔らかい木の質感で統一感のあるダイニングキッチン。間仕切りは、木枠にぬくもりある摺りガラスを選んで、柔らかい光の反射を感じられる仕様に。木の質感がトゲトゲした気持ちも和らげてくれるような空間にしてましょう。


台所インテリアのヒント

台所の照明は作業がし易いように蛍光灯がつけられていることが多いですが、間接照明を取り入れて、空間の陰影や雰囲気を演出してみましょう。素敵な雰囲気のキッチンに自然に家族が集まります。


台所にスピーカーを設置してみましょう。ラジオや音楽を楽しみながら調理している人は結構たくさんいます。


他の部屋同様に、大きなポスターや絵画、写真などを飾りましょう。



キッチンレボリューションの15のポイントはいかがでしたか?

さぁ、キッチンデザインから暮らしのレボリューションを始めましょう!

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