土間は古くから日本家屋に取り入れられてきたことから、その印象として伝統的な和風住宅だけに用いられる古いものだと思われている方も多いでしょう。しかし近年では、その多様なメリットをうまく生かしながら、モダンな住まいに採用する例も増えています。そこで今回は、現代の住宅や生活スタイルに土間を上手に取り込んでいる実例を紹介していきたいと思います。プランニング次第で色々な使い方が考えられるので、是非これらの実例を参考にしてみて下さい!
土間は土足で歩ける室内空間でもあるため、屋内と屋外をなめらかに繋げてくれる干渉領域のような働きをしてくれます。この働きはこちらの松原正明建築設計室が手掛けた住宅のように、2世帯住宅における世帯間のちょうどいい距離感をつくり出してくれます。こちらの住まいではさらに薪ストーブや趣味のスペースとなり、それぞれの世帯を遠すぎず近すぎない距離に保っています。
こちらの株式会社アポロ計画リノベエステイト事業部が手掛けた住まいでは、土間空間をライブラリースペースとして計画されています。フローリングなどとは異なる独特の肌触りや空気感が、本当に図書館にいるようなリラックスした気分にしてくれそうです。また、大きな窓から見渡せる外の穏やかな風景が、さらに心を落ち着かせて読書に集中させてくれそうです。そうした集中と和みを与えてくれるこの場所は、勉強スペースや家族が集まる憩いの場としてもぴったりの空間です。
写真:RENOVESTATE
土間は玄関などの主な生活空間の中心以外として考えがちですが、住まいの中心としてもプランニングすることができます。こちらの向山建築設計事務所が手掛けた住宅では、LDKという生活の中心空間を土間として計画されています。さらにその空間は、そのまま庭に直接出られるような、庭との一体感や開放感によって、大人数で楽しむ際には最高の場所にもなるはずです。
こちらの(有)菰田建築設計事務所が手掛けた住宅では、土間に垂直に自転車をおいたり、螺旋階段を設置したりと縦方向をうまく利用しています。自転車を室内まで手軽に入れられることから、自転車の防犯面やメンテナンス面でも安心ですし、自転車をインテリアの1つとして飾り置くこともできそうです。さらに、螺旋階段とそれに合わせた大きな開口がここの空間だけでなく、住まい全体を明るくしてくれる場となっています。
写真:Ryota ATARASHI
建物や敷地の形によっては、1つの家にも関わらず家の中が分断されているかのような、繋がりを感じられない冷たく生活しづらい住まいもあります。そうした時に、土間は住まい全体をまとめて快適で、さらには効率的な生活空間としてくれます。こちらの内田雄介設計室が手掛けた住宅でも、以前の分断されたプランの寒く暗い家に通り土間を取り入れることによって、繋がりのある光と風が入り込んでくる住まいにリノベーションされている、建築家の工夫が随所に見られる住まいとなっています。
写真:Ippei Shinzawa
玄関に土間を設けると、ちょっとしたコミュニケーションの場としてとても便利な場所となります。それをより拡張して、家族や友人たちが集える場所として計画されたのが、こちらのエヌ スケッチが手掛けた「つなぐ家」。玄関も兼ねているこちらの空間は、多目的に使える、人とひとをつなぐ「集いの間」として、周囲にリビングや畳スペースを配置して、そしてアプローチともなるオープンテラスへと気軽に行き来ができるような広がりのある土間空間にデザインされています。
【和の空間については、こちらの記事でも紹介しています】
※ 縁側まとめ
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